2006年6月11日発行

第46回 宗議会(常会)報告 「宗門を開く会」

 

6月5日 代表質問(木全議員)

 

 要旨1,総長は、同朋会運動推進の3項目、特に、「現代社会との接点を持つ」とい      うことについて、どのように理解されているか。

2,玉光順正前教学研究所長解任人事で、千森弁護士から「免役務」の発令が適      法であるとの指導を受けたということであるが、本件人事が違法性はなく、適法な人事であるというのであるなら、その法律的論拠を詳細にお答え願いたい。

3,帰敬式実践運動について、宗務総長演説では、「帰敬式実践運動推進総合会      議」や「帰敬式実践運動推進事務室」更には御遠忌専門委員会の中に「帰敬式実践運動推進に関する委員会」を設置するなど、掛け声だけはまことに勇ましいことであるが、実態は何もかも組に押し付けようとしているだけに過ぎない。組を基軸としてといわれるが、組長は言うまでもなく自坊以外の門徒に帰敬式を執行する資格はないが、どのように考えておられるのか。また、総長演説を聞くと、この帰敬式実践運動は、人数だけにスタンスをおいているように窺がえる。いうまでもなく信心の人の誕生は、一人こそが問題なの      である。この問題について総長はどのような理念を持ち、具体的な施策として中央で何を実施しようとするのか、その具体策をお聞かせ頂きたい。

4,真宗大谷派本廟維持財団正常化の問題は、全宗門人が一斉に署名運動をし、      京都府庁や、文化庁に強力に働き掛ける必要に迫られていると思うが、総長の見解は如何か。そして又、監督官庁への働き掛けだけでなく、当該財団に対し、「本願寺への助成を行うべし」という民事訴訟を起すべき時に至っていると思料するが、このことについて今日まで検討、研究されたことがあるか、否か。当該財団正常化に対する今後のご方針をお聞かせ頂きたい。

5,『教行信証』(坂東本)の完全複製と共に宗門内外が待ちわびていた鈴木       大拙先生の英訳『教行信証』の再版が親鸞仏教センターにおいて進められると聞いて、先ず鈴木大拙先生の英訳『教行信証』は、真仏土及び身土の巻は未完のままであるが、この度の再版事業では未完の両巻の翻訳は着手されるのか。また、既に出版せられた英訳『教行信証』の奥書では、編集については、確か「東方仏教協会」ということになっていたと思うが、今度、親鸞仏教センターで編集ということになれば「東方仏教協会」の名はどうなるのか。「東方仏教教会」は鈴木大拙先生が創設された世界的に有名な伝統ある学術      機関である。その「東方仏教協会」が今度の再版事業と無関係ということになると非常に釈然としないにものがある。今日までの経過と今後「東方仏教協会」に対してのご方針をお聞かせ頂きたい。

 

6月7日  一般質問(赤松議員)

要旨  1,一昨年の宗会において、いわゆる被選挙権の拡大がなされ、教師にも被選挙      資格が与えられたが、その権利を行使しょうとするには所属寺の住職、教会主管者の同意を必要とするものであった。世界に開かれた教団、同朋社会の実現という理念を掲げ、人間性の回復を願いとし、独立者の誕生をその使命とするはずの宗門が、こともあろうに傍生を強いるということになった。つまり、宗祖の教えに全く背いた制度であり宗門となってしまったのである。「宗祖としての親鸞聖人に遇う」という御遠忌コンセプトが掲げられているし、また総長は初日の演説で「親鸞聖人の教えに直入して」とも言われたが、      このままでは宗祖に申し訳けなく、とてもお遇いすることなどできるはずが      ない。住職の同意という条件を取り除き、つまり傍生を強いるということを直ちにやめて、無条件とすべきであると思うが、総長の答弁をお願いする。また、こういう状況、つまり権利行使に住職の同意が必要というのは人権を損なう、極めて重大な問題だと考えるが,解放運動推進本部長は、どうお考えか。

2,京都教区、参議会議員選挙において、限りない違法が行われた。教区門徒会      の意思をないがしろにした、そして何人の専横専断をも許さない、あまねく同朋の公儀公論に基づく宗門運営を宣言する宗憲に対する裏切り行為と断じざるを得ない。現行の宗憲はあの長く続いた教団問題を機縁とし、先輩方の筆舌しがたいご苦労と全国の御同朋の宗門に対する熱い願いが結集されて生まれたものである。そのようにして制定された宗憲に対し、総長が任命した職員がかかる違反行為を重ねていることを如何に受け止められるのか。

 

     一般質問(大澤議員)

要旨 1,過疎の問題については宗門としては全くといっていいほど手がつけられてい      ない。大谷派宗門を支えてきた門徒衆の多くが地方から都市へとその生活空      間を移している事も事実だが、その中で地方に残っている人々、そして寺院の問題は全く置き去りにされていると言わねばならない。そのことはまさに緊急の課題である。先ずその人達がなにを考えておられるのか、その現場からの声を聞く事を早急に始めなければならない。よって、緊急課題として、人口過疎地に所在する寺院および教会の現状を調査するための委員会の設置を今議会において追加提案されるつもりはないか。

2,大分合同新聞上で、長久寺参務が退任されていないのに前住職と名乗ったな      ら懲戒条例第42条『役職名、教師、学階又は褒賞を詐称した者、法要座次又は衣体を濫用した者は、謹慎又は譴責に処する。』とあり身分詐称という重大な問題を孕んでいる。新聞社の記事に誤植があったとされるのであれば、この場ではっきりと新聞社の間違いであると明言して戴きたい。しかも「東本願寺筆頭参務」と記されており、その参務の身分詐称にかかわる看過出来ない問題である。また、このような問題を宗門内の「宗門法規」にかかわる総務担当の参務としていかがお考えなのか、昨今の内局のありようを見ると、      昨年の教学研究所所長解任問題等、宗門法規の前に俺がいて、俺の言うことが宗門法規だという姿勢が見え隠れしているように感じているのは私だけか。宗門法規に対する長久寺参務の明確な姿勢をお答え下さい。

 

6月8日 一般質問(本多議員)

 

 要旨 1,今の内局においては、度々法規遵守姿勢に薄い保守的硬直が見られる。

天満別院前輪番の別院管理運営上の種々の不明朗な問題点の詳細については、過日の同朋社会推進委員会においての、長久寺参務の説明によって、かえって大きな疑問が生じることとなった。結果、宗務役員懲戒規程第2条に規定する、非違行為はあったのか。

2,総長演説で、「セクハラに対するガイドラインの策定と相談窓口」を約束さ      れたが、そのことはひるがえって、現在の受け止め体制と、対応の未熟さの証明であろう。現在、宗門内では差別事象を受け止めた側の対応姿勢は、どうすることとなっているか。そして今回また、宗門内でおこった性差別に対し、以前からの対応マニュアルにある適切な対応はとれたのか。解放運動推進本部長は、どうお考えか。

3,教化センター構想とやらで、総長やセンター長の管理下に、中央集権的体制を敷き、教学的見地から、また解放運動の見地から、宗門の有り様を問うていくことができなくなった時、宗門の存在意義がますます風前の灯火となってしまうことは、自明の理である。

今一度、健全な宗門の有り様を願う時、解放運動推進本部の本部制のもつ意味と可能性を重視して、また、教学研究所の存在意義と可能性を重視して、当然、今後も両組織の主体性、独立性を堅持尊重していくべきだと思うが、当局には、そういったつもりがあるのか、お聞かせ願いたい。

    

一般質問(旦保議員)

 

要旨  1,女性室を設置し、表向きにはあたかも、男女両性で形づくる教団を標榜され      ているが、現実は女性不在に気づく人がいない。帰敬式実践運動に関する委員会報告には住職・僧侶・坊守・推進員等々の役割が謳われ、「うちの寺は坊守で持っている」という住職の言葉が示すとおり、まさに、都合よく利用しているとしか思えないのは私だけか。

今回の内局巡回における通知文の中で坊守および、門徒女性が対象者になっ      ていないのはなぜか。

2,女性室スタッフが組織部から、解放推進本部に移行されて、名実ともに性差      別の問題に取り組むべき職制なったと了解しているが、しかし、そのスタッフの処遇はいまだ、嘱託の域を出ていない。解放が意味するように、おおらかに、男と女が共に諸課題を共有することを願いとしているにもかかわらず、本部員とされないのはどういうお考えか。

3,「ハンセン病問題に関する懇談会」は、有縁のカンパによって、台湾の療養      所入所者も招く中で、去る3月に「第6回ハンセン病問題に関する全国交流集会」を開催することができた。参加された総長始め、議員各位の皆様も感じていただけたことと思うが、一人ひとりと顔の見える歩みと、かかわったスタッフの創造力の結集であることを確信した。参加者の多くが願っている次期の開催意志があるのかどうか。

 

提出議案 

 

過疎地域現状調査委員会設置に関する条例案

 

 理由 現代日本社会における過疎過密の問題は、言うまでもなく緊急の課題となっております。それはわが宗門にとっても同様であります。首都圏開教の問題は言わば過密の問題であります。そしてそれには不充分とはいえ、わが宗門でもそれなりの取り組みがなされているといえるでしょう。他方過疎の問題については個別的に課題になるという事はあっても宗門としては全くといっていいほど手がつけられていません。大谷派宗門を支えてきた門徒衆の多くが地方から都市へとその生活空間を移している事も事実ですが、その中で地方に残っている人々、そして寺院の問題は全く置き去りにされていると言わねばなりません。そのことはまさに緊急の課題であります。先ずその人達がなにを考えておられるのか、その現場からの声を聞く事を早急に始めなければなりません。よって、人口過疎地に所在する寺院および教会の現状を調査し、的確な施策の策定に資するものとして、当委員会の設置を提案するものであります。

 

宗議会議員選挙条例の一部を改正する条例案

並びに 宗会条例の一部を改正する条例案

 

 理由 一昨年の常会において、宗議会議員選挙条例の一部が改正され、昨年、それを更に補正すべく、内局から宗議会議員選挙条例の一部を改正する条例案が提出されております。

 そこでは不服審査請求の道が開かれ、中央選挙管理委員会で判定が下されることになっていますが、単に手続き上の改正にしかすぎず、住職の同意・不同意の根拠、基準が不明であり、同じ条件下で、一方は同意、他方は不同意という不公正が生ずるなど混乱を招く恐れがあります。

 ここに改めて、宗憲前文に示された「あまねく同朋の公議公論に基づいて行う」との精神を具現化し、より多くの宗門構成員の宗政参加を促し、宗門活性化を願いとして、25歳以上の有教師に等しく被選挙権を付与すべく、標記2件の提案に及ぶ次第であります。